天声人語 20160325 親離れ子離れのとき

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〈這(は)えば立て立てば歩めの親心〉はことわざのようだが、江戸の川柳集にも載っている。わが子の成長を待ち望む親心はいつの時代にも変わらない。子が育てば行動半径は広がる。〈立てば歩めが駆けだして母苦労〉という江戸川柳もあって、うなずく方は多かろう▼よちよち駆ける。親はハラハラ。去年の本紙に「幼児用リログイン前の続きード(ひも)」の話が載っていた。歩きはじめた子を親がつないで危険から守るために普及しているという。安心感の一方、「犬みたい」との声もあって、受け止め方は様々らしい▼子が長じれば、目はいっそう届きにくい。昨今、安心を求めて「居場所追跡サービス」を利用する親が増えているそうだ。持たせた携帯電話のGPS機能を使って、外出中の子がどこにいるかを把握する▼ランドセルのまま道草を食ったゆるやかさが懐かしいが、万が一を案じる親心は分かる。だが、やめどきを考えるのも大事らしい。子の成長につれて「見守り」は「監視」へと受け止めが変わりやすい▼さて、卒業と入学の季節。春はそれぞれに親離れ、子離れのときでもある。〈入学の子に見えてゐて遠き母〉福永耕二。小学校の新1年生の心細さであろう。保護者に引かれた手を離して他人の中に入っていく幼子(おさなご)も、試練をくぐって歩んでいく▼親御さんには、つい差し伸べたくなる手を、もう片方の手でそっと押さえる覚悟が要るときかもしれない。親子の距離は永遠の難問だが、広がる距離は自立の証しととらえたい。
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