Part3 企業が行う会計処理の仕組み

来源:互联网 发布:建筑行业什么软件 编辑:程序博客网 时间:2024/06/07 06:39

Part3 企業が行う会計処理の仕組み

売上債権,減価償却,引当金…。企業の会計業務は,耳慣れない言葉であふれている。そもそも経理部門とは何を行っている部署なのか。ITエンジニアが最低限身に付けておくべき企業の会計業務を,その考え方から説き起こす。

 企業の会計業務の中身について,製造業を例にとって説明しよう。製造業はさまざまな業務を包括しているので,製造業の会計業務を理解すれば,他の業態についても理解しやすいはずだ。

 企業の中で,会計に関わる業務を行っているのは,経理部門だけではない。製造業の基幹業務とは,「資材を買って,製品を作って,売る」ことである。この「購買,生産,販売」という業務すべてに会計に関わる処理が発生する。購買業務においては「購買管理」や「債務管理」,生産業務では「生産管理」や「原価計算」,販売業務では「販売管理」,「債権管理」といった具合だ。(債務管理や債権管理,原価計算という言葉については,後ほど説明する)。

 さらに基幹業務以外に発生する会計処理として,「労務費(人件費)管理」と「経費管理」がある。労務費とは給与,賞与,法定福利費などを指す。労務費で注意しなければならないのは,その範囲だ。多くのITエンジニアは,労務費(人件費)と聞いてすぐに思い浮かぶのは給与だろう。だが,それに加えて,賞与,退職金,さらに企業が負担する社会保険料(健康保険料,厚生年金保険料,雇用保険料,労災保険料など)も労務費に含まれる。

 経費とは各部署で発生する交通費,通信費や,消耗品などの購入費である。これらの支出も,会計上の取引(会計処理を発生させるさまざまな業務行為)として,必ず記録しなければならない。

 こうした処理は企業においては,経理部以外の個別の組織が行うことが多い。すなわち,購買管理は購買部や調達部,資産管理は資産管理部,販売管理は営業部,生産管理は製造部や工場,労務費管理は人事部や労務部,経費管理は社内の各部署が行う。経理部は何をしているかというと,各部署からの取引に関する情報を会計データとして「総勘定元帳」で記録,集計する(図1)。

図1●企業における会計に関連する業務と会計データの流れのイメージ
製造業を例にとった場合を示す。各部門で発生する会計データは最終的には経理部門で総勘定元帳に記録,集計する
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会計処理は「発生主義」が基本

 以下では,企業の実際の会計処理を,順を追って解説していこう。いつ処理を行うのかという切り口で会計処理を整理すると,日々の処理,月次決算,中間決算,期末決算に分けることができる。

 日々の処理の中心は,個々の取引をチェックし,記録することである。企業が記録すべき取引は法律や企業会計原則で定められており,様々な種類があるが,中でも大きなウエートを占めるのが売買に関する取引だ。すなわち,製品を作る材料などを仕入れる購買取引と,商品や製品を販売する販売取引である(図2)。購買取引によって,会計処理上の「費用」が発生し,販売取引によって「売上」が発生する。利益が売上と費用から導き出されることは,Part2で説明したとおりだ。

図2●購買取引と販売取引の業務の流れ
図2●購買取引と販売取引の業務の流れ
日々の取引の中心となるのは購買,販売取引だ。購買,販売の各段階の業務において,さまざまな帳票が発生し,会計データの元となる

 その際の費用や売上の計上といった会計処理は「発生主義」に基づいて行う。発生主義とは,売上や費用は現金の収支ではなく,その「事実」の発生に基づき計上するという考え方だ。売上を例に取れば,事実の発生とは,製造業であれば出荷時点,SIベンダーであればソフトウエアの検収時点ということになる。

 ツケがきく居酒屋を例に挙げよう。客がさんざん飲み食いした後,「ツケといて」と,店を後にしたとする。その時点では,もちろん居酒屋に現金は入ってきていない。しかし,居酒屋からすれば,商品なりサービスはすでに提供しており,その対価の請求権も保有している。あとは実際に現金が入ってくるのを待つだけだ。それでも,入金がまだだからという理由で売上を計上しないと,「居酒屋としての商品やサービスを提供した」ことや,「対価の請求権を保有している」という経済活動の事実が記録されない。それでは経済的実態を表さないというのが,会計における発生主義のもともとの考え方である。

 発生主義は会計処理の大原則であり,企業が会計上で経営をどのように記録しているかを知る上で極めて重要なので,ぜひとも理解しておいて欲しい。

 居酒屋のツケと全く同じことが,実は企業同士の取引でも日常的に行われている。すなわち,製品を売ったり,サービスを提供しても,相手の支払は「当月末締め,翌月末払い」などということがある。これだと,販売から入金まで最長で2カ月,最短でも1カ月のタイムラグがある。


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