社説 20150206 PC遠隔操作 判決を機に捜査力の向上図れ

来源:互联网 发布:v29万能主板 数据 编辑:程序博客网 时间:2024/04/27 20:29

 判決が、狡猾こうかつなサイバー犯罪を指弾したのは当然だろう。

 パソコンの遠隔操作事件で、威力業務妨害罪などに問われた片山祐輔被告に、東京地裁が懲役8年の判決を言い渡した。

 片山被告は、作成したウイルスを他人のパソコンに感染させ、そのパソコンから航空機爆破や幼稚園襲撃などの犯行予告メールを関係機関に送り付けた。一連の事件では、パソコンを遠隔操作された男性4人が誤認逮捕された。

 判決は「捜査機関を出し抜きたいとの自己中心的な願望を満たすため、見ず知らずの第三者を犯人に仕立て上げた」と非難した。

 「サイバー犯罪の中でも悪質な犯行だ」とも指摘した。懲役8年という重い実刑は、それを反映したものと言えよう。

 片山被告は保釈後、他に犯人がいるかのように装い、自作自演の「真犯人からのメール」を送信した。「類を見ない隠滅工作だ」という判決の指摘はもっともだ。

 事件は捜査の在り方に大きな教訓を残した。特に問題なのは、誤認逮捕された4人のうち2人が、虚偽の「自白」をした点だ。

 神奈川県警に逮捕された当時19歳の大学生は、「否認したままだと少年院に入ることになる」などと捜査員に迫られたとされる。供述を誘導するような不適切な取り調べがあったのではないか。

 検察や裁判所が、本来のチェック機能を果たしていなかったことも見過ごせない。地検でも自白調書が作られ、家裁は保護観察処分を決定した。

 取り調べの録音・録画を義務化する刑事訴訟法の改正案が今国会に提出される予定だが、今回の威力業務妨害事件などは義務化の対象外だ。警察・検察は全事件で適正な取り調べを徹底し、冤罪えんざいを防がねばならない。

 誤認逮捕を招いた要因として、サイバー捜査の脆弱ぜいじゃく性が挙げられる。警察がネット上の住所にあたるIPアドレスを過信し、パソコンの所有者を犯人と思い込んだ。知識不足の捜査員にとって、遠隔操作ウイルスは想定外だった。

 事件後、警察庁はウイルス情報のデータベース化を始めた。全国の警察はサイバー捜査に携わる人員を増やしている。捜査態勢をさらに充実させてもらいたい。

 サイバー犯罪の手口は日々、巧妙化している。警視庁は、民間の情報セキュリティー会社と情報交換協定を結び、助言を受けている。最新の知見を捜査に生かす取り組みが求められる。

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