日经社説 20150407 電源構成は将来を見据えて議論せよ

来源:互联网 发布:niji日本网络电视直播 编辑:程序博客网 时间:2024/05/17 08:18

 経済産業省は2030年の電源構成に関し、原子力や石炭火力など「ベースロード電源」を全体の6割以上にする考えを示した。電力の安定供給に必要というのが、理由だ。

 しかし、これでは各電源の使い分けや構成比が東日本大震災前と大差ないものになりかねない。東京電力福島第1原子力発電所事故の教訓を踏まえつつ、動き出した電力市場の自由化にも対応した、もっと柔軟な電源の使い方を考えるべきだ。

 次世代送電網(スマートグリッド)といった新技術や新ビジネスの創出を促し、日本の成長に長期的に資するエネルギー政策を、政府は示してもらいたい。

 ベースロード電源について経産省は、発電コストが安く昼夜を問わず安定して電気を生む電源、と定義している。具体的には原子力と石炭火力、水力、地熱の4つをあげる。天然ガス火力や太陽光、風力発電などはベースロードでないとされる。

 10年前ならこうした考え方に説得力があったかもしれない。だが状況は変わった。原発には、故障や災害で止まると容易に復旧しない不安定さがある。地球温暖化を抑えるため、石炭の利用には世界的に制約が強まっている。

 国内では、効率の高い天然ガス火力をベースロード電源としてすでに日常的に使っているのが現実だ。ドイツなど欧米では太陽光や風力発電などを積極的に電源に組み入れており、その傾向が将来さらに強まるのは間違いない。

 世界規模で電力システムの革新が進む。電源構成をめぐる議論は将来の日本の姿を決めるのが目的だ。従来通りでよしとする発想では技術革新を妨げ、世界の潮流から遅れてしまわないだろうか。

 経産省が「ベースロード電源6割」という考え方を持ち出したのは、原子力の比率を正面から論じたくないからではないか。机上の計算だが、同省の考えに沿うと結果的に原子力の構成比は20%以上に高まる可能性が大きい。

 原子力はこれからも一定程度必要だ。そのことを真正面から論じ、将来の電源構成に明確に位置づける必要がある。

 「ベースロード電源」というくくり方で本質的な問題を避けていると、議論が実態から離れ副作用も生む。原子力を含むエネルギー政策全般への国民の不信感も消えないだろう。

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