日经社説 20150715 イラン核合意を中東地域の安定にいかせ

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2週間を超える交渉を経て、米欧など6カ国とイランが同国の核開発をめぐる協議で最終合意に達した。イランが核開発を大幅に縮小する見返りに、米欧はイランに科す経済制裁を解除する。

 イランに核兵器を持たせないようにする歴史的な合意である。イランの核疑惑は中東の緊張を高める要因になってきた。この疑念を取り除く意義は大きい。合意を確実に履行し、中東地域の安定実現にいかすことを望みたい。

 イランはウラン濃縮に使う遠心分離機を減らし、核爆弾をつくろうとしてもすぐにはできないようにする。核関連施設の査察の進め方でも合意した。米欧はイラン側の合意履行に合わせて経済制裁を段階的に解除する。

 イランの核開発をめぐっては敵対するイスラエルが軍事行動の構えを崩さず、ペルシャ湾を挟んで対峙するアラブ諸国も警戒を強めている。放置すれば中東に核開発の連鎖を広げかねない。

 対立の根っこにあるイランの核開発を国際監視の下に置き、核兵器の入手を封じる道筋を整えたことは重要だ。粘り強く交渉を続けた双方の努力を評価したい。

 中東は今、混迷の度を増している。シリアやイエメン、リビアなど各地で続く内戦は出口が見えない。過激派組織「イスラム国」(IS)がシリアやイラクの一部を実効支配し、住民に対し残虐な行為を繰り返している。

 核合意を中東が混迷から脱する足がかりにしていきたい。シリアやイエメンの内戦ではイランが支援する勢力の存在を無視できない。核交渉で実現したイランと国際社会の歩み寄りを内戦終結へつなげてほしい。ISの掃討でも米欧との協力が期待できるだろう。

 そのためにはイランが合意を確実に履行し、疑念を完全に払拭することが何より重要だ。国際原子力機関(IAEA)が着実に核関連施設の査察を実行できるようにしなければならない。合意事項に違反した場合は制裁の解除を見直すなど、国際社会が合意の履行を厳しく監視することが大切だ。

 日本はイランと、米欧と異なる独自の外交関係を維持してきた。同国は日本にとって重要な原油の輸入先でもある。核合意の履行を促す国際社会の輪に積極的に加わり、イランの国際社会への円滑な復帰を後押しすることは日本のエネルギーの安定調達にも寄与するはずだ。

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