社説 20150804 感染症対策施設 迅速な診断と治療に生かせ

来源:互联网 发布:淘宝店铺封了怎么激活 编辑:程序博客网 时间:2024/04/30 23:58

エボラ出血熱など、危険性の高い感染症に、迅速に対応するための重要な一歩である。

 国立感染症研究所の高度安全実験(BSL4)施設を稼働させることに塩崎厚生労働相と地元の東京都武蔵村山市長が合意した。

 厚労相が近く、国内初のBSL4施設に指定する。エボラ出血熱やラッサ熱など、致死性の高い6種類の感染症が国内で発生した場合、患者の血液からウイルスを分離し、解析できるようになる。

 ウイルスの型の解明は、感染経路特定の手がかりとなる。ウイルス量の分析は患者の病状把握に役立つ。BSL4施設が必要な所以ゆえんだ。国内ではこれまで、感染の有無の検査しかできなかった。

 人や物の国境を越えた往来が活発になり、新たな感染症が世界的に拡散する危険が高まっている。厚労省によると、既に19か国・地域で41のBSL4施設が整備されている。主要国で稼働していないのは日本だけだ。

 塩崎厚労相は「国家の危機管理において、30年以上続いていた懸案が解決できた」と強調した。今回の合意を、日本の感染症対策の充実につなげることが大切だ。

 武蔵村山市内の施設は、1981年に完成した。だが、周辺住民の反対により、危険度が1ランク低い重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルスなどを扱うBSL3施設として運用されてきた。

 昨秋、国内でエボラ出血熱と疑われる例が報告されたため、厚労省が市と協議を本格化させた。市側は、国民の生命と健康を守るために、患者の診断・治療に限定して、BSL4施設としての「稼働はやむを得ない」と判断した。

 施設は住宅密集地にあり、学校にも隣接している。市側は運用状況の報告や事故・災害時の対応強化を求め、厚労省はその実行を約束した。市民の不安感をできるだけ払拭したい。

 ウイルスを厳重に封じ込める機能に異常がないか、稼働前に改めて点検することが重要である。

 病原体がバイオテロなどに悪用されないよう、厚労省は監視カメラを増設し、警備を強化する。安全管理に万全を期してほしい。

 政府は、感染症への取り組みを医療政策の重点分野に位置付けている。現在、長崎大学もBSL4施設の建設を計画中だ。

 海外では、BSL4施設を拠点に、治療薬やワクチンの開発が進んでいる。日本でも複数の施設を整備し、感染症研究に幅広く活用することが求められよう。

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