日经春秋 20150823

来源:互联网 发布:手机淘宝双色球在哪里 编辑:程序博客网 时间:2024/05/17 08:10

そのお年寄りはいつも空を見上げていたそうだ。東京では切れ者の役人で通っていたはずなのに、郷里に戻ってからは雲の流れるさまを眺めていることが多く、近所をいぶからせていたとか。舞台は兵庫県北部の小さな町。明治の終わりから昭和の初めにかけての話だ。

▼男性の名は桜井勉。幕末に出石藩士の家に生まれ、新政府になってからは内務省に勤めた。山梨や徳島の官選知事を務め、伯爵より上位の「錦鶏間祗候(きんけいのましこう)」にまでのぼりつめた。聞き慣れない官職だが、NHKの大河ドラマで大沢たかおさんが演じる吉田松陰の義弟も任じられたと聞くと、地位の重さが何となく想像できる。

▼いちばんの功績は内務省の地理局長時代に全国の自治体に号令して気象測候所を設けさせたことだ。計測値を集計し、台風がどちらの方向に移動しているのかなどを分析することで、あすの天気が読めるようになった。日本の天気予報の生みの親である。それで退官してからも空模様が気になって仕方がなかったのだろう。

▼先の大戦中、気象情報は敵軍を利するとして発表を禁じられた。「夕焼けだから、あすは晴れ」。人々は空を見上げる生活に逆戻りさせられた。東京で予報が復活したのは70年前のきのうのことだ。その晩は「時々雨が降る見込み」との予報に反して暴風雨だった。当たらない天気予報は不要? ないよりはずっとましだ。

0 0
原创粉丝点击