日经春秋 20160111

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突然、一つ目一本足の巨人が襲ってくる。女の生首が笑いながら、飛び回る。あんどんの火が燃え上がる。かと思うと、居間で水がざぶざぶと湧き出した。江戸時代、広島・三次の藩士、稲生(いのう)家の屋敷で起きた騒動を記録した「稲生物怪録」に現れる怪異の数々である。

▼当主夫婦は病死していて16歳の遺児平太郎が妖怪に立ち向かう。巨石が転がり込む。塩俵が飛び交う。異変続きの30日目、魔王が出てきて平太郎の勇気をほめる。あまりにも奇怪な事件だが、評論家の倉本四郎氏の考察が面白い。想像力が生んだ怪物は子供を大人にする使命を帯びていた、と推理する(「妖怪の肖像」)。

▼確かに騒動後の平太郎は、きりっと描かれている。昔は大人になるのはたいへんだった。未開社会では修業に出た。樹上から飛び、能力と覚悟を見せた。つらい「通過儀礼」を乗り越えて仲間入りできた。今では、やっかいな儀式はなくなった。形ばかりの式はあっても、かえって大人になりにくくなったとの嘆きも聞く。

▼先の見えない世の中だ。1人でも大人が増えてほしい。でも、昔には戻れない。工夫はないかと考えるうちに、それほど心配ないと思えてきた。想像力豊かな若者は、とうに自力で「儀礼」を通っているはずだ。テロや「水爆実験」という怪物が横行する。ありありと思い浮かべるだけで、江戸の妖怪よりよほど恐ろしい。

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