ボッティチェリの青と赤

来源:互联网 发布:客户端上传图片到php 编辑:程序博客网 时间:2024/04/28 20:49
鮮やかな色彩の記憶がある。以前、金沢のひがし茶屋街を歩き、加賀藩時代の面影を残すお茶屋の中を見学した。かつて舞や三弦が披露されただろうお座敷の壁は、紅殻(べんがら)で塗られ、あでやかな赤だった▼「はなれ」と呼ばれる奥の座敷に進んで驚いた。一転して群青色に彩られた空間である。宴の場に似つかわしくないログイン前の続き印象も持ったが、引き込まれるような心地よい感覚があった。聞けば前田のお殿様も愛(め)でた色とのこと。赤と青の競演を堪能した▼先日、同じ対比を上野の東京都美術館で開かれているボッティチェリ展で味わった。呼び物の一つである「書物の聖母」。憂い顔のマドンナのまとう衣服の瑠璃色が見る者を圧倒する。画家の最盛期の傑作は本邦初公開だそうだ▼続いて「美しきシモネッタの肖像」の真っ赤なマントが目に飛び込んでくる。こちらは日本国内で所蔵される唯一の作品。どちらも美しいが、宝玉のラピスラズリをたっぷり使った青の深みにより魅せられた▼情熱の赤に対し、沈着の青。色彩の好敵手はとても対照的だ。一般に人は青を最も好むと聞くが、男性は赤い服の女性が一番好き、という研究もあるそうだ。世界のどこでも同じ傾向らしい。脳研究者の池谷裕二(いけがやゆうじ)さんの著書『自分では気づかない、ココロの盲点』に教えられた▼ボクシングなどでは赤コーナーの方が青コーナーより勝率が高いという研究もあるという。赤は血や火の色、青は空や海の色。その違いが人の心身にも影響するのだろうか。
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