日经春秋 20160328

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 「昭和万葉集」に、戦死した夫の無言の帰還を嘆く歌がある。「箱一つ還りきたりて亡き人を思へとならしその軽き箱」(山本道子)。赤紙一枚で戦地に駆り出され、戻ってきたのは遺骨の入っていない遺骨箱だった。そんな空の箱を前に、故人を思えというのか――。

▼太平洋戦争の末期、こういう「軽き箱」を多くの遺族が受け取った。戦場での遺体収容などとてもかなわず、白木の箱に戦地の砂や石、仮の位牌(いはい)を収めて届けたのである。軍や政府は、それを遺骨と見なして「英霊の帰還」というフィクションを構築したと、浜井和史・帝京大講師は指摘する(「海外戦没者の戦後史」)。

▼戦争が終わり、フィクションは崩壊したがアジア・太平洋に散った人々の遺骨はさほど顧みられずにきた。日中戦争以降、海外で戦没した日本人は約240万人。その半数近くの遺骨がなお未帰還だ。そんな不条理に国会がようやく目を向け、先日、戦没者遺骨収集推進法が成立した。遅きに失したとはいえ画期的だろう。

▼遺骨収集を「国の責務」と明記し、これからの9年間で集中的に作業を進めるよう定めている。多難な仕事になるのは間違いないが、いまはDNA鑑定による身元特定も可能だ。一柱でも多くの遺骨を遺族に届け、かつて「軽き箱」に泣いた人たちに報いなければなるまい。戦後70年を過ぎて、逃してはならぬ機会である。

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