天声人語 20150117

来源:互联网 发布:黑客帝国数字雨 算法 编辑:程序博客网 时间:2024/05/21 10:12
「くやしい」と題された詩はとても短い。〈砕けた瓦礫(がれき)に/そっと置かれた/花の/くやしさ。〉。神戸市に生まれ、20年前のきょう被災した詩人の安水稔和(やすみずとしかず)さん(83)は、それからずっと、神戸の町と、生きる人々を言葉にとどめてきた▼「泣く」という詩は〈ここにいる人は/一度は泣いている。/あのとき/すぐに。/あのあと/ずいぶんたって。/このあと/いつか不意に。〉で全文。難しい言葉はひとつもないが、大切な人を失った悲嘆の深さや、消えぬ追慕への想像を、読む者の心に呼びさます▼20年は節目ながら、区切りにできる人ばかりではない。そんな心のさまが、本紙と関西学院大の調査に表れていた。回答者の半数以上は、亡くした家族を今も「どうしようもないほど恋しく、いとおしい」と感じている▼4人に1人は、いまでもどこかで生きていると考えることがあるという。街は歪(ゆが)み、壊れたが、人の命こそかけがえがない。悲しい記憶を塗り込めるように都市は復興しても、人の心が追いつかない▼阪神・淡路大震災の犠牲者は6434人を数える。日々の明け暮れのなかで、いまも不意の涙、嗚咽(おえつ)がこみ上げる遺族はおられよう。思いを寄せて、きょうは静かに祈る日としたい▼これから先は、記憶を伝え続けることが一層大事になる。3月の東日本。10月には中越。震災だけではない。伊豆大島、広島……瓦礫にそっと置かれた花のくやしさは、どこも同じだった。その悲劇を、また繰り返さないために。
0 0
原创粉丝点击