天声人語

来源:互联网 发布:哈登场均数据 编辑:程序博客网 时间:2024/04/29 18:35
鮮やかな朱色の表紙につけられた「茜雲(あかねぐも)」というタイトルの由来は悲しい。日航ジャンボ機事故で亡くなった人たちが最後に見たであろう、夏の夕焼け空の色である。520人もの命が絶たれた墜落から、きょうで30年になる▼「茜雲」は事故の翌夏から、遺族が思いをつづる文集としてほぼ毎年作られてきた。痛みを分かち合うためのものでもあった。今年は事故を知らない世代にも広く伝えようと、一般向けの出版を決めた(本の泉社刊)▼夫と9歳、7歳の子を亡くした女性は、「いちばん幸せで輝かしかった時代は、やはり結婚して子育てをした一〇年の濃厚な日々でした」と寄せた。20歳の娘を失った父親は「今一度、もう一度だけ、できることなら触れてみたい……」。歳月に癒えぬ悲しみに胸が詰まる▼遺族でつくる「8・12連絡会」の編集だが、会の名に「遺族」の文字はない。前を向いて、最愛の人がなぜ死んだのかを問い、亡くなった人のぶんも生きたい。そうした意志をこめてのことと聞く▼空の安全への働きかけも絶やさずにきた。事故は、多重安全の設計を誇ったジャンボ機の「神話崩壊」でもあった。「どんなに技術が進んでも、安全の最後の守り手は人間の意識です」の言葉を茜雲の序文に置いた▼この30年、日本の大手航空会社で乗客が死亡した事故はない。しかし教訓に慣れすぎたところへ、悲劇はすり寄ってくるものだ。犠牲者の無念と遺族の慟哭(どうこく)を忘れまい。誓いの原点に立ちもどる日でもある。
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