天声人語 20150202

来源:互联网 发布:信托产品风险知乎 编辑:程序博客网 时间:2024/05/16 19:27
後藤健二さんは頭の左上に何やら視線を感じたそうだ。目をやると、棚に40センチほどの木彫りの女性像がたたずんでいた。アフリカ中部ルワンダの、女性たちが手作りした品を売る店でのこと。祈る姿の像を手に取り、じっと見つめたという▼この国で、1994年に民族対立による大虐殺が起きた。誰が像を作ったかは分からない。だが地獄を生きのびた一人の女性が、どんな気持ちで彫ったかは分かる気がすると、後藤さんは著書『ルワンダの祈り』に書いた。文章が実に優しい▼買って日本へ持ち帰ったというその像も、一心に祈っていたに違いない。しかし――。じりじりと過ぎた時間のはての非道きわまる結末に、日曜の朝は、衝撃とやりきれぬ怒りに包まれた▼「彼らの頭脳や心は石でできている。言葉が通じない」。後藤さんが「イスラム国」に入る前に一緒だった、シリア人通訳の言葉がよみがえる。ご家族の心痛を思えば、胸がつぶれる心地になる▼卑劣なテロは許されない。その意を新たにしつつ、イランの映画監督マフマルバフ氏がかつて、大意こう述べていたのを思い出す。「(アフガンなどの)タリバーンは遠くから見れば危険なイスラム原理主義だが、近くで個々を見れば飢えた孤児である」▼これまでの後藤さんのまなざしにも、重なるものがあると想像する。貧困や無知といった暴力の温床を絶ちたいと、弱い人々の姿を伝え続けたのではなかったかと。無念のいかばかりかを汲(く)み、今は祈りを捧げたい。
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