天声人語 20150208

来源:互联网 发布:长春玛雅软件培训 编辑:程序博客网 时间:2024/06/04 19:32
長崎で被爆した歌人の竹山広さんは、惨禍を詠んで胸に迫る歌を幾つも残した。折にふれて引用させてもらったが、きょうは記憶の風化を静かに憤る一首をお借りしたい。〈孫よわが幼きものよこの国の喉元(のどもと)は熱きものを忘れき〉▼忘れてはならぬことが忘れられていく――。竹山さんの歌が、「ノクターン―夜想曲」という舞台劇を見るうちに脳裏に浮かんだ。こちらのテーマは福島の原発事故。これほどまでに早く進む風化に一石を投じたいと、脚本家の倉本聰(そう)さんがつくり、巡回公演が始まっている▼執筆にあたり、倉本さんは福島に何度も足を運んだ。立ち入り禁止の区域は荒々しい雑草に覆われ、町全体がしんと黙している。故郷に戻れぬ人々の心に近づこうと取材を繰り返した▼震災から数年後、避難区域の一軒家で、身内らを亡くした人たちが偶然出会うことから話は始まる。故郷、愛(いと)しい人、時間。奪われたものへの哀惜が舞台の上で紡ぎ出されていく▼東日本大震災から来月で4年になる。わずかな歳月しかたたないのに「風化が堂々と進んでいる」と倉本さんは言う。たしかに、安全を押しのけるように「経済」がぬっと前に出て、政府や財界の原発回帰は鮮明だ▼今も12万人の福島県民が避難先で暮らしている。なのに世の中も、喉元を過ぎたかのように関心は薄れつつあるようだ。福島からの電気を無邪気に使い、それを反省したはずの大都会にも、その気配は濃い。忘却を拒む志を、舞台上に見る思いがした。
0 0