社説 20150215 着床前検査 効果と課題の見極めを慎重に

来源:互联网 发布:陕西广电网络智能卡号 编辑:程序博客网 时间:2024/04/29 19:26

「着床前スクリーニング」の臨床研究が年内に始まる見通しとなった。体外受精による受精卵の全ての染色体を調べて、異常のない受精卵だけを子宮に戻す検査手法だ。

 日本産科婦人科学会の倫理委員会が研究計画を承認した。不妊に悩む女性の助けとなるのか。効果を慎重に見極めたい。

 不妊や流産の一因に、加齢による受精卵の染色体異常がある。高齢出産が多い日本では、不妊治療としての体外受精が増えている。しかし、何度繰り返しても妊娠せず、心身の負担に苦しむケースが少なくない。

 臨床研究では、原因不明の流産を2回以上経験するか、体外受精を3回以上試みて失敗した人を対象に、300例の着床前スクリーニングを行う。スクリーニングを実施しない場合に比べ、出産率などが向上するかどうか調べる。

 有効性を科学的に検証しようという学会の姿勢は理解できる。

 スクリーニングに関しては、命の選別につながるとの批判がある。ダウン症などの染色体異常を持つ子が生まれる可能性のある受精卵も、排除するからだ。

 学会はこれまで、重い遺伝性疾患と習慣流産に限った「着床前診断」しか認めていない。着床前診断では特定の染色体を調べるのに対し、着床前スクリーニングでは全染色体が検査対象になる。

 学会が今回、会告で着床前スクリーニングを禁じたまま、臨床研究として特別に認めたのは、苦肉の策と言えよう。背景には、技術の精度が向上し、活用を望む人たちの声が高まったことがある。

 2013年には、ダウン症など胎児の病気を、妊婦の血液から調べる新型出生前診断が国内で始まった。着床前の検査で、このような染色体異常の選別を認めないのは、二重基準ではないかという医療現場の指摘もあった。

 一部の医療機関では既に、学会の会告に反し、スクリーニングを実施している。生殖医療技術の進歩に、倫理面の議論が追いつかない現状を如実に物語っている。

 学会は3年間の臨床研究の後、有効性が認められれば導入の是非を最終的に検討する。

 導入するのであれば、着床前スクリーニングの乱用防止策が重要になろう。染色体を調べれば、男女の産み分けも可能になる。本来の目的から逸脱した検査が行われることは許されまい。

 医師に限らず、幅広い分野の専門家を交え、社会的影響についての議論を深めるべきだ。

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