日经社説 20150403 改憲論議は論点を絞り込まず幅広く

来源:互联网 发布:linux cron 编辑:程序博客网 时间:2024/05/17 22:00

変える必要があれば変える。どんな物事にも当てはまる話だ。憲法も時代の変化などで不都合な点が生じれば直すのが当然だ。どこに問題があるのかを与野党が幅広く論じ合い、結果として改憲すべき項目が自然に浮き彫りになる。そんな話し合いを期待したい。

 議論の場となるのは、衆参両院の憲法審査会だ。改憲論議に弾みがつくことを警戒する民主党などはいろいろ理由を付けて先延ばしにしてきたが、衆院はようやく今国会初の開催にこぎ着けた。

 審査会の保岡興治会長(自民)は「議員としての考えを自由に述べてもらい、審査会の議論に積極的に参加してほしい」と述べた。護憲勢力も手続き論などで抵抗するのでなく、言いたいことがあれば正々堂々と主張すべきだ。

 憲法改正を巡っては、15年前に衆参両院に憲法調査会を設けて以来、有識者からのヒアリングなどがなされてきた。昨年は改憲のための国民投票法の投票年齢を18歳にする改正も実現した。そろそろ本筋の議論に入るときである。

 自民党は災害時の緊急事態条項の創設など国民の合意を得やすいとされる課題から論議し、早ければ来年夏の参院選後に国会での改憲発議にたどり着きたい考えだ。

 安倍政権の高官は「いちど改憲を味わってもらう」などと発言している。いわゆる「お試し改憲」論である。

 衆参それぞれの総議員の3分の2以上の賛成がなければ発議できないので、国民投票にかける最初の案件が緊急事態条項や新しい人権の創設になる可能性は高い。

 ただ、自民党が自衛隊を国防軍に改めたがっていることは周知の事実だ。9条改正を故意に封印して有権者の目先をそらそうとしている。そう受け止められれば、自民党にはかえってマイナスだ。論点を無理に絞り込まなくてもよいのではないか。

 国民の合意が得やすいとされる項目も子細に見ていくと疑問点はある。緊急事態条項を発動する災害の規模はどう決めるのか。海外には環境権を憲法に書き足した結果、国土開発などが遅延し、困っている国もある。

 楽に実現する「お試し改憲」などありはしない。改憲派こそ護憲派以上になぜ変えたいのかを積極的に訴える責任がある。どういう憲法にしたいのか。回り道でも、全体像をじっくりと説明し、国民的な合意をつくり出すべきだ。

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