日经社説 20150521 好循環促し中長期の成長基盤を固めたい

来源:互联网 发布:记忆存在哪里知乎 编辑:程序博客网 时间:2024/05/23 00:41

内閣府が発表した今年1~3月期の国内総生産(GDP)は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.6%増、年率換算で2.4%増となった。

 日本経済の実力とされる1%未満の潜在成長率はもちろん、実質で年率1%台半ばという民間予測をも上回る結果となった。

 中身は数字の印象ほど強くない。GDP統計では、在庫が増えると成長率を押し上げ、逆に在庫が減ると押し下げる。今回の1~3月期の年率2.4%の成長のうち、在庫の変動だけで2%分も押し上げられた。

 国内の需要低迷で在庫が大きく積み上がっているわけではない。ただ、GDP統計をかく乱しやすい在庫に大きく依存した高成長は、ひとまず「追い風参考記録」程度に考えるべきだ。

 好材料は、設備投資や住宅投資が4四半期ぶりに増えたことだ。雇用者報酬の増加を背景に、個人消費も底堅く推移している。

 景気は昨年4月の消費税増税後に大きく落ち込んだものの、2四半期連続でプラス成長となった点は民需主導で緩やかな回復が続いていると評価できる。

 大事なことは四半期ごとのGDPに一喜一憂せず、日本経済再生とデフレ脱却に向けた中長期の成長基盤をしっかり固めることだ。

 企業収益は過去最高を更新している。企業が賃上げや配当増加を通じて家計への還元を増やせば個人消費を押し上げ、さらに企業収益や個人消費が増えるという好循環を実現しやすくなる。

 甘利明経済財政・再生相は「設備投資にはまだ弱さがみられる」と語った。企業経営者が弱気の心理を払拭し「攻めの投資」に打って出るかが試される局面だ。

 政府はそのための環境を整える責任がある。大詰めを迎えている環太平洋経済連携協定(TPP)交渉を早期に妥結させるとともに、労働や医療などの規制改革を着実に実施していくべきだ。

 内閣府は製品、仕掛かり品、原材料、流通という4種類の在庫の計数を初めて開示した。これまでは在庫の推計の難しさが、民間のGDP予測が大きく外れる一因となっていた。

 予測と実績の食い違いが市場を大きく混乱させるといった不確実性を減らす一歩として、妥当な対応だ。これにとどまらず、GDP統計の精度を高めるための不断の努力を政府に求めたい。

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