社説 20150701 骨太方針決定 アベノミクスを深化させよ

来源:互联网 发布:云计算公司排名 编辑:程序博客网 时间:2024/06/07 00:50

◆成長と財政再建の両立が肝心だ◆

 脱デフレを確実にするとともに、人口減少に対応して日本経済の成長力を底上げする。

 そのためには、経済政策「アベノミクス」をさらに深化させる必要がある。

 政府が、「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)と、成長戦略「日本再興戦略」の第3弾を閣議決定した。

 民間活力を引き出す規制緩和などで高い成長を実現し、財政赤字の解消や社会保障制度の再構築など構造問題の解決を図る。経済成長と財政再建の二兎にとを追う基本戦略を堅持したのは妥当である。

 ◆生産性の向上に軸足◆

 安倍首相は、骨太方針と成長戦略を取りまとめた経済財政諮問会議で、「経済財政の一体改革を、不退転の決意で断行していく」と強調した。

 アベノミクスの効果で、景気は緩やかに回復している。

 だが、デフレ脱却は道半ばだ。「失われた20年」に確実に終止符を打つには、「3本目の矢」の成長戦略を加速し、日本経済の基礎体力を強化することが重要である。

 今回の成長戦略は、需要不足の解消に重きを置いてきたアベノミクスが、人口減少など供給面の制約の克服を目指す「第2ステージ」に入ったと位置付けた。

 労働力が減少する中で成長を続けるには、生産性向上が欠かせない。民間企業による設備、技術、人材への投資拡大による「生産性革命」によって、稼ぐ力を高める方向性は適切だろう。

 成長の主役はあくまで民間企業である。経営者による「攻め」の決断を後押しする政策支援を、さらに拡充することが大事だ。

 戦略には、企業に投資を促すため、官民の対話の場を設けることが盛り込まれた。時宜にかなった対応と言える。

 大幅な賃上げにつながった政労使会議のように官民が連携し、好循環経済を目指す手段として有効に活用したい。

 ◆規制緩和の深掘りを◆

 ただ、成長戦略の策定は、3年目に入ったこともあり、全体に施策が小粒な印象は拭えない。

 解雇を巡る金銭解決制度の導入や一般住宅を宿泊施設として活用する「民泊」の解禁なども、検討方針を示すにとどまった。

 共通番号(マイナンバー)の利用範囲拡大や、職業訓練の充実など、既存政策の延長線の域を出ないメニューも並んだ。

 イノベーション(技術革新)を担う人材の育成を目指す「特定研究大学」や、産学連携で人工知能などの専門人材を集める「卓越大学院」の創設は、着想は悪くないが、肝心の中身が不透明だ。看板倒れにならないだろうか。

 実効性が高まるよう、具体策を練り、強力に推進することが求められる。

 過去2回の成長戦略は、法人税実効税率引き下げに道筋をつけたほか、農業、労働、医療などの分野で岩盤規制の改革に着手し、一定の成果を上げた。

 しかし、検討過程で各府省や業界団体の抵抗を受け、改革が中途半端になったり、先送りされたりしたケースも多い。企業の農地所有の解禁などが典型だ。

 規制緩和を先行的に導入する「国家戦略特区」についても、経済界から進捗しんちょくが遅すぎるとの指摘が出ている。

 成長戦略や規制改革は、そもそも長い時間と手間がかかる取り組みである。

 目新しさを追うより、一度は手をつけたものの、積み残しになった課題を真剣に洗い直し、地道に実現を図るべきだ。

 中長期的な成長力の向上には、財政再建も避けて通れない。

 健全な財政基盤がないと、景気悪化などへの機動的な政策対応が困難になる。

 ◆歳出削減が物足りない◆

 今回の骨太方針に盛り込まれた財政健全化計画は、実質2%という高成長率が実現し、税収が大幅に増えることを前提としている。このため、肝心の歳出削減は、踏み込み不足に終わった。

 最大の焦点である社会保障費の抑制策も、検討課題の列挙にとどまった。給付削減や負担増に必要な制度改正の時期や内容を明示していないのは問題だ。

 痛みを伴う改革の必要性を国民に正直に訴え、理解を得ることこそが、政治の責任である。安倍首相の指導力が問われる。

 夏以降、2016年度予算案の編成作業が本格化する。歳出削減の具体策を積み上げ、財政再建へ着実な一歩を踏み出せるかどうかが、その試金石となろう。

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