社説 20150703 アジア投資銀 中国の「独善」へ懸念が増した

来源:互联网 发布:无法打开淘宝登陆界面 编辑:程序博客网 时间:2024/05/23 13:57

これでは「中国による中国のための銀行」ではないか。疑念はさらに高まるばかりだ。

 中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立協定の調印式が北京で開かれた。参加国の承認手続きを経て、年内の発足を目指す。

 創設メンバー57か国の代表が出席し、うち7か国は署名を見送った。中国によると、国内手続きの遅れがその理由だという。

 見送った国には、中国と南シナ海の島嶼とうしょの領有権を争うフィリピンとマレーシアが含まれる。海洋進出を図る中国へ不満を表す意味もあったのではないか。

 中国は、26%超の議決権比率を持つことになった。総裁選出など重要事案の決定には75%以上の賛成が必要なため、事実上の拒否権を獲得したと言える。

 北京の本部に理事を常駐させない。初代総裁には、中国の元財務次官の就任が有力視される。これでは、透明性を確保した、公正中立な運営はとても望めまい。

 アジアでは今後、年8000億ドルのインフラ投資が必要と試算され、AIIBの設立には巨額の資金需要を取り込む狙いがある。

 AIIBの体制や中国の意図への不安が募る中、「日本が米国とともに参加を見送ったのは適切だった」との見方が内外で強まってきたのは、当然だろう。

 中国の習近平国家主席は「シルクロード構想とAIIBで、アジアの問題を解決し、ともに発展していく」と強調している。

 シルクロード構想は、かつての陸と海のシルクロード沿いに、中国主導で道路や鉄道などのインフラを整備し、巨大経済圏を築くものだ。自国の利益のために、AIIBを最大限利用する思惑があるのは明白である。

 インド洋まで活動範囲を広げる中国海軍の拠点となる港湾の整備事業などに、資金が流れないか、懸念は強い。

 AIIBが甘い融資基準を定め、焦げ付きのリスクを高めたり、環境破壊や政権腐敗を助長したりすることは、許されない。これまでも中国が援助した国では、案件に絡む汚職が指摘される。

 菅官房長官が、「国際機関にふさわしい基準を満たすことで、役割を果たすよう期待したい」と注文を付けたのは、もっともだ。

 AIIBは今後、融資基準の策定作業を本格化させる。日米は、メンバー国の英仏独伊などと緊密に連携し、AIIBが国際金融秩序を乱さないよう、その動向を監視していかねばならない。

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