天声人語 20150709

来源:互联网 发布:阿里云客服 编辑:程序博客网 时间:2024/04/30 00:15
白い象はタイで神聖視されるが、英語のホワイト・エレファントは違う意味を帯びる。もてあまし物を言う。その昔、タイの王様から家臣が白い象を賜(たまわ)った。捨てるわけにもいかず飼育し、費用がかさみ破産した。そんな類の話に由来するらしい▼欧米などでは、金食い虫のハコ物を皮肉る常套句(じょうとうく)になっている。負の遺産は日本各地にもある。その親分格になるぞと反対の声がわく新国立競技場が、結局、秋に着工と決まった▼おとといの有識者会議で計画が了承された。それにしてもこの会議、顔ぶれを見ると「関係者会議」ではないのだろうか。有識者会議とは巧みな名称で、権限はあって責任はあいまいになる。ともあれ、引き返すことを知る有識の人はいなかったらしい▼建設費が膨らむ要望をした有識者もいたと聞く。国の借金ダルマの肥大を少しでも止めるべきところ、将来世代へのツケがまた増えかねない。奇抜なスタジアムの図が、早くも白い巨象に見えてくる▼5月に亡くなった詩人長田弘さんの詩の一節を、折にふれて思い出す。〈立ちどまらなければ/ゆけない場所がある〉。競技場も、原発の再稼働も、安保関連法案も、いったん走り出したら止まらない▼立ちどまり、異なる声に耳を貸すということが、首相とその周囲に乏しすぎる。反論と不安の多い安保法案を数の力で押し切ろうと急ぎ、原発回帰へアクセルを踏む。夏から初秋、この国は大きなカーブを曲がろうとしている。運転の荒さが半端ではない。
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