日经社説 20150709 多様な働き方と子育てを支える税制に

来源:互联网 发布:阿里云客服 编辑:程序博客网 时间:2024/04/28 07:29

政府税制調査会が所得税改革の議論を始めた。働く女性を増やし、子育て世帯を支援するような税制抜本改革の青写真を、しっかりと描いてほしい。

 安倍晋三内閣は法人税や消費税の見直しを進めてきたが、所得税の抜本改革は放置してきた。少子高齢化やグローバル化の進展を踏まえ、時代遅れとなった所得税の体系を改める必要がある。

 まず、サラリーマンと専業主婦の世帯などの税負担を軽くする配偶者控除を、見直すべきだ。

 パートで働く妻などの年収が103万円以下の場合、夫の課税所得から38万円の控除を受けられる。税負担を軽くするため、年収を103万円以下に抑えようと就業調整をする人が多い。「103万円の壁」ともいわれている。

 日本は人口減少で働き手が不足している。配偶者控除の仕組みが女性の就業を妨げているとすれば、日本経済の成長力を下押しする弊害は大きい。

 かつては専業主婦世帯が多く、配偶者控除は妻の「内助の功」に報いる面があった。だが、いまや共働き世帯は専業主婦世帯より多い。専業主婦が悪いわけではないが、女性が年収を意識せずに柔軟で多様な働き方ができるよう、税制を改めるときだ。

 少子化対策として子育て世帯への税制面の配慮も求められる。

 世代間の格差も是正が必要だ。たとえば年金受給者に適用される公的年金などの控除は、現役世代の給与所得控除より手厚い。

 公的年金を保険料負担などで支える現役世代の数が減る一方、給付を受ける側の高齢者は増え続けている。低所得者への配慮は必要だが、やはり高齢者を過度に優遇するのは問題だ。

 懸念されるのは、政府税調が税という狭い世界だけで議論しようとしている点だ。年金や医療などの社会保険料は年60兆円を超え、国の税収を上回る。納めている大半は働き手と企業であり、性格は所得税とあまり変わらない。

 先進国で最悪の財政を立て直し社会保障制度を持続可能にしていくには、負担を勤労者に必要以上に押しつけることなく国民が薄く広く分かち合う必要がある。

 給付面では、社会保障と税の共通番号(マイナンバー)制度を活用しながら、きめ細かく低所得者対策を講じていくのが課題だ。そのための新たな社会保障と税の一体改革が求められている。

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