日经社説 20150806 被爆70年に改めて核のない世界を誓う

来源:互联网 发布:淘宝千纸鹤什么档次 编辑:程序博客网 时间:2024/05/21 07:00

70年前のきょう、広島市の上空で原子爆弾がさく裂し、その年の末までに14万人の命が奪われた。今も数多くの被爆者が後遺障害に苦しんでいる。

 私たちには、唯一の被爆国に生を受けた者として、惨禍をしっかりと学び、世界へ核兵器廃絶を訴え続けるとともに、次世代へ受け継ぐ責務がある。

 画家、丸木位里・俊夫妻は被爆直後の広島に入り、その後、30年以上をかけ「原爆の図」全15点を完成させた。全長7メートルを超える作品の数々は、罪のない市民らが言葉に尽くせない惨状に陥ったさまを伝える。うち6点が6月、米国へ渡った。初めての展示となる首都ワシントンからニューヨークなどへ12月まで巡回する予定だ。

 今年4月の調査でも「原爆投下は正当化しうる」と考える米市民はまだ5割超いる。ひとりでも多くの人が、この絵と向き合ってほしい。核兵器がもたらす恐ろしさを知り、惨劇を2度と繰り返してはならない、との誓いを新たにする一歩となるに違いない。

 市民レベルの動きとは異なり、国が前に出た核軍縮へ向けた交渉は滞りがちだ。今年5月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議は、合意内容をまとめた最終文書を採択できずに閉幕した。核保有国と非保有国の考え方の開きは、残念ながら大きい。

 文書案には当初、日本側の演説を踏まえ、被爆地への指導者訪問を呼びかける内容もあった。しかし、中国から「日本は自らを被害者として描こうとしている」と注文がつき、削除された。人類普遍の願いを、歴史問題に絡めようとする姿勢には疑問符がつく。

 先立つ3月には、ロシアのプーチン大統領が昨年のクリミア半島併合をめぐり「核兵器を使う用意があった」と明かした。責任ある大国の指導者として、核兵器廃絶への潮流に反した、脅しめいた発言をするのは看過できない。

 一方、イランが核開発を大幅に縮小するとした7月の最終合意は、歴史的な意義を持つ。過激派組織「イスラム国」(IS)の台頭で緊張が高まる中東に、核開発の連鎖が起きる事態はひとまず回避された。地域の安定に資するものとして評価したい。

 丸木位里の母親で、やはり画家のスマの言葉である。「ピカ(原爆)は人がおとさにゃ おちてこん」。核兵器を作るも、なくすも人だ。歩みを止めてはならない。

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