日经社説 20150113 3年目の原子力規制委に改めて問う

来源:互联网 发布:单片机控制语音芯片 编辑:程序博客网 时间:2024/05/17 09:15

原子力規制委員会は今年9月に発足から丸3年を迎える。委員会設置法の付則では3年以内に必要な見直しを実施する決まりだ。

 規制委は福島第1原子力発電所事故の反省を踏まえて誕生し、原子力安全の見張り番として重い責任を背負ってきた。安全を最優先に考え容易に妥協しない姿勢は評価に値する点もある。一方で改めるべきこともある。

 規制委のあり方に関し幅広く意見を聞き、国民の信頼により深くこたえられる組織に進化すべく必要なてこ入れをすべきだろう。

 「安全でないとは言っていません。安全だとも言っていません」。田中俊一委員長はしばしばぶっきらぼうな物言いをする。規制委の審査は「安全にお墨付きを与えるものではない」という意味だが、この言い方ではわからない。

 審査を通じ原発の安全性がどれほど向上したのか。足りない点があるとしたらどこか。しっかり国民に伝える必要がある。

 規制委とは異なる見解をもつ事業者や外部の専門家の意見に、なかなか耳を傾けようとしない姿勢も気になる。説明する力をもっと磨き、開かれた議論を心がけてもらいたい。

 委員会という合議の組織を生かす運営ができていない。委員長を含め5人の委員は大局的、総合的な観点から審議にあたるべきだ。今のように各委員が担当ごとに縦割りで仕事をするのでは自由闊達な議論がしにくい。

 そのためには委員を支援する直属のスタッフが要る。規制委は事業者や政治から独立した判断ができることが大切であり、さらに事務局である原子力規制庁ともなれあわず一定の緊張関係を保つのが望ましい。委員の独立した判断を支えるのは広い専門知識を備えたスタッフだろう。

 原子力防災にももっと踏み込んでもらいたい。事故が起きた際の避難計画は住民の生命と健康を守る最後の手段だ。そこまで目を届かせてこそ原子力安全といえるのではないか。災害対策は原則として自治体の役割だが、原子力安全の専門組織として避難計画の実効性をチェックし、よりよい内容に改める手助けをすべきだ。

 規制庁の職員を欧米の規制機関に出向させ実地で経験を積む機会をつくるなど世界に学んでもらいたい。グローバルな視点の大切さは国会の福島事故調査委員会も指摘した点である。

0 0