日经春秋 20150822

来源:互联网 发布:德阳儿童学编程 编辑:程序博客网 时间:2024/06/05 01:44

思い出は何と強情っぱりか。懐かしい土地を訪れ、様変わりに驚く。強い印象を受ける。ところが家に戻るとすぐに現在の景色は色あせ、いつのまにか昔の映像が甦(よみがえ)る。34年前の今日、台湾での航空事故で亡くなった作家の向田邦子が随筆に書いている(「眠る盃(さかずき)」)。

▼事故の2年前、小学生時代を過ごした鹿児島を38年ぶりに訪れた。昭和15年、紀元二千六百年の祝典でお遊戯をした照国神社はコンクリート造りになっていた。繁華街の店も動物園も消えていた。住んでいた高台の社宅もない。眼下には見たこともない新しい街が広がっていた。朝夕、縁側から見た桜島だけが変わらない。

▼次々に浮かぶ情景の背後にいつも、この山がある。思い出を呼び戻す鍵は、その風情にあるのかもしれない。どんと構えて動かない。形も色も大きさも、吐く煙まで昔のままだ。静かな山だった。作家と同世代で、鹿児島の小学生だった母に聞いたところ、昭和10年代の修学旅行で歩いて山頂まで登ったことがあるそうだ。

▼いまは大規模噴火の可能性が高まっている。山体が膨らみ噴石や火砕流への警戒が続く。大正噴火では、溶岩で大隅半島と陸続きになり、灰は関東にまで達した。動かないと思っていても、突然変わる。百年を穏やかに過ごし、思い出したように、荒々しい姿を見せる。火山の強情さは、人間の記憶をはるかに超えている。

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