日经社説 20150822 効率を高めつつ石炭火力拡大に歯止めを

来源:互联网 发布:德阳儿童学编程 编辑:程序博客网 时间:2024/05/21 17:12

中部電力が計画中の石炭火力発電所(愛知県武豊町)の環境影響評価(アセスメント)で、望月義夫環境相が建設に「待った」をかけた。環境相が石炭火力の新設に異議を表明したのは、大阪ガスなどが山口県で進める計画に次いで今年2度目となる。

 電力の自由化をにらんで、発電コストが相対的に低い石炭火力の新設計画が相次いでいる。環境相の異議は、このままだと二酸化炭素(CO2)などの排出量を「2030年度に13年度比で26%削減する」とした政府の地球温暖化対策の目標達成が困難になる、と判断したからだ。

 しかし、今回のようにエネルギー効率の高い最新鋭の発電所の建設を次々に止めていけば、結果として効率の悪い古い発電所が温存されて、かえってCO2削減に逆行しかねない。石炭火力の増加を防ぐ有効な手立てがほかにないとはいえ、ちぐはぐな政策と言わざるを得ない。

 そんななか、大手電力会社と新電力など35社は自主的なCO2の削減策を公表した。高い効率の火力発電の導入や原子力発電所の再稼働、再生可能エネルギーの拡大で、30年度の販売電力1キロワット時あたりのCO2排出量を13年度に比べて約35%減らす、という。

 石炭利用の効率を高めてCO2の排出量を減らす技術革新には期待したい。ただ、こうした取り組みを重ねたとしても、石炭火力から排出されるCO2をどの程度まで減らせるのか、現状では確たることは言えない。

 CO2の排出は火力発電が抱える外部不経済といえる。これを内部化する仕組みとしてCO2排出に課税する考え方がある。石炭や天然ガスなどの発電時のCO2排出量などに応じて課税すれば、相対的に排出量が多い石炭火力の拡大に一定の歯止めをかけられるだろう。効率の悪い古い発電所の淘汰を促す効果も期待できる。

 こうした手法を検討する時期に来ているのではないか。増税で得た歳入を再生エネルギーの買い取り制度で生じる賦課金の軽減に回せば、国民負担も抑えられる。個別的な規制よりも、市場による選択を重視したい。

 政府は7月、30年度時点での望ましい電源構成(ベストミックス)を決めた。経済にも環境にも目配りした選択だ。ひとつの電源に偏らない、全体としてのベストミックス実現を強く望みたい。

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