天声人語 20151229 巨大グラブで夢をつかむ

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奈良の東大寺のホームページを開き、創建期の歴史を読む。聖武天皇は大仏を造るにあたって、広く国民に呼びかけたと書かれている。賛同してくれるなら、「一枝の草、ひとつかみの土」を持ち寄って欲しい、と▼ふつうの人々の協力とつながりで大きな事業を成し遂げる。この聖武の考えと、自分たちの志が一致した。奈良県ログイン前の続き和郡山市で野球のグラブ工房を営む梅原伸宏さん(51)は、そう考えている。26日、大仏の右手に合わせた高さ3・6メートルの巨大なグラブを東大寺に奉納した▼東日本大震災後、用具を失った被災地の球児らにグラブやボールを届ける活動を続けてきた。本業を通じ、野球部を指導する先生方の知己が各地に多かった。これを生かし、中古グラブなどの寄付を募った。プロ球団からの寄贈もあった▼去年、被災地の中学の先生から相談を受けた。まだ仮設住宅から通学する子も多いのに震災の記憶は風化しつつある。何かできないか。ならばと、「大仏グラブ」のプロジェクトをスタートさせた▼材料の牛革を野球少年らが一針一針縫っていく。参加者は2千人以上に。慰霊と復興祈願の法要を重ねる東大寺も協力を惜しまなかった。「一枝の草……」の現代版と理解されたのでは、と梅原さんは言う▼グラブは来年1月9日まで大仏殿に置かれ、3月11日からは福島県いわき市で展示される。「みんな、大仏グラブで夢をつかもう」。そこには同時に「震災を忘れないで」というメッセージも込められている。
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