天声人語 20160118 台湾が選んだ次期総統

来源:互联网 发布:淘宝双十一交易出故障 编辑:程序博客网 时间:2024/06/05 05:36
孤蓬万里(こほうばんり)という名前を、年配の読者はおぼえておいでだろうか。本名を呉建堂さんという台湾の医師で、約5千首を収めた「台湾万葉集」の編著者だ。大岡信さんが本紙「折々のうた」で紹介し、日本でも知られるようになった▼詠み手は様々だが、多くはかつて日本統治下で日本語教育を受けた人たちだった。こログイン前の続きんな歌も収録されている。〈日(ひ)の本(もと)の文習へども花咲かぬ菟糸子(ねなしかづら)の浜に黄色し〉傅彩澄(ふさいちょう)▼台湾の人にとって、アイデンティティーをめぐる問いは軽くない。敗戦で日本が退場すると、代わって中華民国に編入された。戦前から台湾に住む人は、蒋介石の国民党とともに大陸から来て支配する人々と対立を深めていく。弾圧や流血事件も起きた▼もとから住む人は「本省人」、戦後に渡ってきた人は「外省人」と呼ばれた。筆者が取材した20年前は、まだ双方の区別と軋(きし)みは目立っていた。だが若い世代が増え、そうしたあつれきが薄れる中での、今回の選挙だったという▼対立をこえた「台湾人意識」の台頭であると、本紙特派員は解説していた。それが台湾独立志向の野党、民進党蔡英文主席を次期総統に押し上げたようだ。現政権の中国への急接近に、民意がブレーキを踏んだ。民主主義が機能するとは、こういうことだろう▼〈日本語のすでに滅びし国に住み短歌(うた)詠み継げる人や幾人〉と詠んだ呉建堂さんは、18年前に没した。時は流れ、自分の根は台湾にあると考える若者の広がりを天で喜んでいようと想像する。
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