天声人語 20160330 3月の言葉から

来源:互联网 发布:c程序编写软件 编辑:程序博客网 时间:2024/06/05 07:00
「当たり前にある日常のありがたさを胸に、僕たちはグラウンドに立ちます」。香川・小豆島高校、樋本(ひもと)尚也さんの選手宣誓甲子園の春風に乗っていった。花咲き初(そ)める3月の言葉から▼沖縄本島北部で芭蕉布(ばしょうふ)を織り続けてきた人間国宝、95歳の平良(たいら)敏子さん。木の瘤(こぶ)のようログイン前の続きな飴色(あめいろ)の親指を見せて「この手が勲章よ」と笑う。「芭蕉布はね、作り手の人となりがわかるんですよ。心の乱れはすぐ表れる。正直じゃないとできない」▼体と心の性が一致しないトランスジェンダーであることを公表している歌手で俳優の中村中(あたる)さん(30)は思春期にいじめの標的にされた。「でも私は仕返しする代わりに、私の中の刃を、歌にした。刺し返したら、憎しみは連鎖してしまう」▼東日本大震災から5年。宮城県名取市の工藤博康さん(50)は「復興、復興と、何だか16ビートで追い立てられ続けているというか……」と外からの掛け声への違和を語る。「記憶も流されていき、いまも『失い続けている』という感じです」▼福島市生まれの歌人、本田一弘さんが〈もう五年いやまだ五年 五年といふ時間の重き雪が積もりぬ〉。三月十一日が「3・11(さんてんいちいち)」と記号のように表されることへの抵抗感を詠んだ一首も重く響く▼なでしこ散る。サッカーの日本女子代表がリオ五輪への道を絶たれた。監督を退任した佐々木則夫さん(57)は「頼りなさそうな私によくついてきてくれた。選手たちの包容力、頼もしさを感じた」。敗軍の将が選手をたたえて。
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