天声人語 20141221

来源:互联网 发布:国家二级c语言成绩 编辑:程序博客网 时间:2024/06/06 15:47
日本の古典の中で、なじみ深い書き出しの一つだろう。「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり」。名高い歌人の紀貫之(きのつらゆき)が女性を装う形で書いた「土佐日記」は、1080年前のきょう12月21日から始まる▼土佐守(とさのかみ)の任期を終えて都へ戻るまでの55日の旅日記である。当時は日記といえば、男が公的な記録などを漢文で記していた。女手(おんなで)と呼ばれたひらがなで身辺をつづる新奇な手法は、平安女性文学の開花につながったというから、貫之は偉大だった▼千年の時が流れて、師走。書店や文具店には新しい暦や手帳とともに日記帳が並ぶ。歳時記にも「日記買う」や「日記果つ」の言葉がある。三日坊主の過去を忘れて、つい手にとって眺めてしまう▼先日、東京で見た本紙の「ひととき」欄に「十年日記 4冊目は」という投書が載っていた。85歳の女性で、3冊目の十年日記が今年で終わるそうだ。新たな1冊を買い求めるかどうか思案している、とあった▼流れ去る歳月を「昨日(きのう)は今日の古(いにし)へ、今日は明日(あす)の昔」とうたった室町時代の古謡がある。10年3650余日をとどめた日記はずしりと重いはず。それを3冊とは、長続きせぬずぼら組は仰ぎ見るばかりだ▼憚(はばか)りながら、投稿女性のように思案するご高齢は、他にもおいでだろう。人生の先輩にさしでがましいが、かつて小欄で紹介した句を思い出す。〈ためらはず十年日記求めけり〉水原春郎(はるお)。1冊を座右に、未知の歳月へ歩みゆく意気が伝わってくる。
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