日经社説 20150115 成長と財政両立の道筋見えぬ予算(社説)

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政府が2015年度予算案を決めた。国の一般会計の歳出・歳入総額は14年度当初予算に比べて0.5%増え、過去最大の96兆3400億円になる。

 国・地方をあわせた基礎的な財政収支の赤字を10年度比で半減する目標はかろうじて達成できるという。だからといって財政再建と経済成長を両立させる道筋を示したとはいえず、課題は多い。

社会保障切り込み不足

 14年度当初予算より財政収支は改善する。税収は54兆円あまりと当初予算としては1998年度以来の大きさだ。

 14年4月に消費税率を8%に上げた効果が年間を通じて表れるのに加え、企業収益の改善や賃金の増加を背景に法人税や所得税の収入が増える。

 この結果、新規国債の発行額は4兆円あまり減る。歳入に占める新規国債発行の割合は約38%と6年ぶりに40%を下回る。

 見た目はたしかによくなるが、財政赤字の国内総生産(GDP)に対する比率が先進国で最も高い状態は変わらない。増税や景気拡大に伴う税収増だけで財政の本格的な立て直しはできない。

 最大の問題は、歳出の削減や抑制が不十分なことだ。とくに高齢化で膨らみ続ける社会保障費は14年度比で3.3%増え、切り込みが足りない。

 介護の分野で、介護人材の処遇を改善しつつ介護サービスの公定価格である介護報酬を抑えたのは評価できる。消費増税で得られた財源を少子化対策などに優先的に振り向けるのも妥当だろう。

 ところが、医療や年金の分野では、抜本改革の名に値するものはほとんどない。

 たとえば、自営業者や定年後の会社員が加入する国民健康保険(国保)向けの財政支援を増やす。代わりに、大企業の健康保険組合などの負担が段階的に増え、その分だけ国費が減る。「取りやすいところから取る」という手法が再び繰り返されたのは残念だ。

 価格の安い後発医薬品を思い切って普及させたり、医薬品の公定価格である薬価を毎年改定したりする。医療保険の適用対象から湿布などを外す。こうした医療費の抑制策は今回見送られた。

 年金では、支給開始年齢の引き上げや、現役世代よりも年金受給者に手厚い非課税枠の見直しは検討すらされなかった。

 小手先の負担増ではなく、社会保障制度の抜本改革で歳出の伸びをもっと抑え込まないと、いくら消費税を上げても財政再建は逃げ水のように遠のいてしまう。

 地方自治体の財源に回す地方交付税の減額も中途半端だ。リーマン危機後に設けた別枠加算は廃止できたはずだ。

 公共事業費で疑問が残るのは、北海道新幹線と北陸新幹線の建設前倒しだ。開業時期を早めて経済効果を引きだす狙いというが、国費で単年度あたり35億円ずつ上積みする費用を上回る効果がはたしてあるのだろうか。

 エネルギー予算は減るとはいえ、14年度補正予算案での大盤振る舞いを踏まえると効率化にはほど遠い。予算案全体として、歳出構造の見直しに大なたを振るったとはいえない。

 国と地方の借金はGDPの2倍を超えたままで、15年度も借換債を含めて170兆円という巨額の国債発行を余儀なくされる。

規制改革さらに進めよ

 いまは日銀が国債を大量に購入しているので長期金利は低く抑えられている。しかし、金融市場で財政規律が疑われると、国債の安定消化が難しくなるリスクを政府は改めて自覚してほしい。

 その一方で日本経済の潜在成長率は0%台半ばにとどまっている。政府は15年度の名目経済成長率を2.7%、実質成長率を1.5%と見通した。目先の成長率より大事なことは、成長戦略を通じた日本経済の実力の底上げだ。

 法人実効税率の引き下げに踏み出したのは前進だ。さらに追加的な規制改革、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の早期妥結も欠かせない。一過性の補助金や交付金といった予算措置だけでは日本経済を再生できない。

 今後の最大の焦点は、夏までに政府がまとめる財政健全化計画の中身だ。消費税率は17年4月に10%に上がるが、それだけでは20年度に基礎的収支を黒字にする目標は達成できないはずだ。

 社会保障を中心とした歳出削減の具体策、消費増税にとどまらない税制改革、異次元の成長戦略。政府はこれらを組み合わせた信頼に足る財政健全化計画づくりに直ちに着手してもらいたい。

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