天声人語 20150120

来源:互联网 发布:淘宝外围有用吗报名 编辑:程序博客网 时间:2024/05/22 04:23
「幸せ」と書いたら少々大げさになる。熱いお酒と風呂を冬の夜の「シアワセ」とする方は多かろう。燗(かん)をつけた酒が、胃の腑(ふ)の形がわかるように下りていく一口目の陶酔。湯の中で手足の先まで生き返る快感。四季というのはありがたく、寒さあってのシアワセといえる▼さて、お酒の話はまたの日として、日本人は湯が好きだ。過去の記事を眺めると、長い仕事のあとの一言に「温泉にでもつかりたい」が目立つ。宇宙飛行士、イラク派遣の自衛官、シーズンを終えたプロ野球選手――。家庭でも一日の疲れを湯でいやす▼そんなシアワセを暗転させる事故が後を絶たない。いわゆるヒートショックに関連した入浴中の急死は、年間に推計1万7千人にのぼるというから驚く▼寒い脱衣所で血圧が上がり、湯に入ると血管が開いて血圧が下がる。急な血圧の上下で心停止などが起きるという。多くは高齢者だが若い人も油断できない。12月から1月に多く、湯の恋しい季節ほど危ない▼名高い日本文化論『菊と刀』で、米国人ルース・ベネディクトが日本人の入浴について書いていた。「温かさとくつろぎの楽しみに身をゆだね……一種の受動的な耽溺(たんでき)の芸術としての価値を置いている」とは、言い得て妙だ▼きょうは二十四節気の大寒。寒さの最も厳しい時候、どうぞ老いも若きも注意して「耽溺の芸術」に心身を養われたい。言わずもがなだが酒を飲んでの風呂は危険が増す。シアワセはどちらか一つ、と心得るのが無難である。
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