日经社説 20150308 何が患者連続死を招いたか

来源:互联网 发布:电子数据库 编辑:程序博客网 时间:2024/06/05 03:30

群馬大学病院で先進的な手法によって肝臓の切除手術を受けた患者8人が、相次いで死亡していたことが明らかになった。

 悲惨な事故がかくも続いて起きたのは異常だとしかいいようがない。徹底した原因究明と再発防止策が必要だ。

 死亡した患者が受けたのは、腹腔(ふくくう)鏡手術と呼ばれる。腹部に小さな穴を開け、そこからカメラ(腹腔鏡)や医療器具を体内に入れ、医師はモニター画面を見ながら器具を操作する。

 腹部を切り開く従来型の手術に比べ、患者の負担が小さく、回復も早いとされる。ただし医師には十分な経験や技術が求められる。

 問題の手術は2010年から14年にかけて実施されていた。執刀したのはすべて同じ医師だ。未熟な技術による処置や術後の管理など多くの点で問題があった。

 驚くべきは、この医師は従来型の開腹手術でも複数の死亡事故を起こしていたことだ。なぜこのような医師が新たな手法の手術まで続けることができたのか。

 同病院では患者が死亡した際に、何が問題だったかを検証する会議が開かれていなかったようだ。医療事故としての報告もなかった。新しい技術を患者に使ってもよいかを検討する院内の倫理委員会なども通していなかった。

 院内のチェック機能はまったく働いていなかったといわざるを得ない。10月から始まる医療事故の調査制度では、まず院内調査が基本となる。群馬大病院のような状況が他の病院でもあるとすれば、新制度への不信感にもつながりかねない。

 一連の事故を執刀した医師一人の責任にするのは簡単だ。しかし背景には、第1外科、第2外科などと分かれて、お互いの意見交換も乏しい大学病院の閉鎖的な診療環境があることも間違いなさそうだ。組織のあり方から見直すような抜本的な対策が求められる。

 医療事故を起こさない緊張感のある組織かどうか。全国の病院でも緊急に点検すべきだ。

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