日经社説 20150614 世界経済の局面変化どう乗り切る

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世界経済の潮目が変わりつつある。米国経済が復調する一方、世界のけん引役になってきた中国など新興国経済の勢いの鈍化が目立ってきた。米国の利上げが視野に入るなかで金融市場の先行きに不透明感も見える。円安・株高や原油安に支えられてきた日本は外からの追い風に頼らず、自ら成長力を高める努力が一層求められる。

 米欧の金融危機後の世界経済は2つの安全弁に支えられてきた。米連邦準備理事会(FRB)の大規模な金融緩和による潤沢な資金供給と新興国経済の力強さだ。

2つの追い風が弱まる

 しかし、この2つの条件が変わりつつある。米国は今秋にも2006年以来の利上げに踏み切る見通しだ。一方、15年の途上国の経済成長率は4.4%と2年連続で低下すると世界銀行は予測する。

 新興国経済が伸びていた背景には、米国の量的金融緩和を機に域外から資金が大量に流入したこともある。この恩恵がなくなるのは痛手だ。世銀の見通しによれば、米国の利上げで新興国への資金流入は域内の国内総生産(GDP)の1.8%ほど減少する可能性があるという。途上国通貨の大幅な下落を引き起こす懸念もある。

 1990年代後半のアジア危機のころに比べて新興国の経済基盤は強くなり、外貨準備も増えているのは確かだ。ただ、経常赤字が大きい国などは通貨や株式が売られやすくなろう。ドル建ての借り入れを膨らませた新興国企業の経営への影響も注意が必要だ。

 米国に次ぐ経済規模を持つ巨大な新興国である中国は本格的な経済の調整局面に入った。不動産投資や造船、鉄鋼など製造業の設備投資に支えられた高成長経済は限界に来ており、鉱工業生産の伸び鈍化が目立っている。資源依存の新興国の低迷も目立ち、ブラジルのように今年マイナス成長に陥る見通しの国もある。

 もちろん、米国経済の足取りがしっかりしてきたことは世界経済にとって朗報だ。欧州も一時のデフレ懸念が薄れ、成長率が緩やかながら回復している。総じていえば世界経済のけん引役が新興国から先進国にややシフトしているといえるだろう。

 米国の利上げのスピードが緩やかであれば、新興国などへの悪影響も最小限にとどまり、当面は米国を先導役に世界経済が安定するかもしれない。

 ただ、その場合も安易な米国頼みは禁物である。理由の1つは米国経済が回復しても成長率は2%台にとどまりそうで、世界全体を引っ張る力はかつてほどないことだ。2つ目は、各国の経済運営が米国市場頼みに傾きがちなことへの反発が米国内で強まりつつあることだ。

 米議会や一部製造企業の間ではドル高進行への不満が高まっている。輸出競争上不利になったり、企業収益の下押し要因になったりしているためだ。為替相場を政府が管理している中国だけでなく、日欧の量的緩和政策に対しても「自国通貨安を誘導するもの」という批判が出ている。

 そうしたなかで世界各国に求められるのは、経済を自力で、持続的に伸ばしていく姿勢だ。経済の潜在能力を高めるとともに構造問題に正面から向き合うことだ。

 欧州はギリシャ債務問題を解決するとともに構造的な高失業の解消に取り組むべきときだ。中国が投資や輸出主導の経済から脱却するには、国営企業の役割を減らし、民間の創意を重視する改革を進める必要がある。

成長基盤強める努力を

 日本は外部環境の変化をどう受け止めるべきか。円安・株高、低金利をテコにしたアベノミクスは米国に支えられて効果を発揮してきた部分も大きい。米国政府は急激な円高修正をもたらした日銀の量的緩和政策をデフレ脱却の手段として容認。また、緩和的な米国の金融環境は米国だけでなく日本の株高や低金利にも貢献した。

 こうした好環境は米国の利上げにより弱まってくるだろう。円相場の先行きは不透明だが、円安・ドル高が進めばそれだけ日本経済に恩恵をもたらす局面はすでに過ぎ去りつつある。大幅に下落した原油価格も下げ止まっている。

 大事なのはこれまでの追い風で得た果実を実体経済の本格的な改善につなげていくことだ。賃金上昇や設備投資増加の流れを確実にする。そのために、規制緩和や自由貿易協定(FTA)の推進などで成長基盤を強化していくことが欠かせない。世界の経済や金融の環境がまだ安定している間に財政健全化への取り組みを強化することも重要である。

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