社説 20150706 「日本酒」新表示 ブランド力向上につなげたい

来源:互联网 发布:php进行url重写 编辑:程序博客网 时间:2024/05/10 03:52

海外の偽装品との差別化を図り、「純国産」の価値を守る。新たな表示制度を、輸出拡大の弾みにしたい。

 国税庁は、国産の米を原料に、国内で製造された清酒に限って「日本酒」と表示できるようにすることを決めた。クールジャパン戦略の一環だ。

 今秋、酒類業組合法に基づく表示基準を改正し、年内にも、産地名を商品に冠した「地理的表示」の対象に日本酒を指定する。

 地理的表示は、特定地域で作られ、一定条件を満たした酒類や農産品などの品質を政府が保証する制度だ。欧州連合(EU)が世界に先駆けて導入した。

 世界貿易機関(WTO)の協定で、各国が保護すべき知的財産権と定められている。海外で不正使用された場合には、相手国に取り締まりを求めることができる。

 フランスのボルドーワインや英スコットランドのスコッチウイスキーは、地理的表示でブランド力が向上した典型例である。

 今回の指定で、海外産米を使ったり、外国で製造されたりした清酒は、「日本酒」や「ジャパニーズ・サケ」と名乗れなくなる。

 海外の和食ブームを追い風に、日本酒は近年、輸出量を急速に伸ばしている。2014年の輸出額は過去最高の115億円に上り、10年前の2・6倍に増えた。

 人気に乗じて偽装品が出回る恐れもある。先手を打って、日本酒のブランド価値を守ろうという国税庁の狙いは理解できる。

 ただ、国内法による表示指定が、直ちに海外で適用されるわけではない。地理的表示制度を導入している国と個別に交渉し、相互保護の対象を決める必要がある。

 日本酒は、産地ごとに多様な銘柄が存在し、味も異なる。日本酒全体の魅力を海外にどう伝え、売り込むかが問われよう。

 「地名は財産」との考えが日本でも広がってきた背景には、日本産と偽った食品の横行がある。

 農林水産省がアジア各国で毎年実施している調査では、「夕張メロン」などと偽装表示した食品が多数見つかっている。中国では、日本の地名などを商標として勝手に登録するケースも相次ぐ。

 品質に定評がある日本産品のイメージが損なわれかねない。

 農水省は6月、地理的表示に指定された農水産物に共通の「GIマーク」を表示する制度を始めた。海外市場で、いかに日本産品の信用を維持し、ブランド力を高めるか。政府は、関係団体と連携し、その戦略に知恵を絞るべきだ。

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