天声人語 20150822

来源:互联网 发布:草图大师mac版 编辑:程序博客网 时间:2024/06/08 00:10
先日に続いて子規と漱石の話だが、親友だった2人には掛け合いのような俳句がある。百人一首でよく知られる〈忍ぶれど色に出(い)でにけり我が恋はものや思ふと人の問ふまで〉をもじったもので、子規はユーモラスに〈忍ぶれど夏痩(なつやせ)にけり我恋は〉と一句を仕立てた▼片や漱石は、「正岡子規へ送りたる句稿」として〈物や思ふと人の問ふまで夏痩せぬ〉。ともに明治29年の作だ。句作のいきさつや、あとさきは寡聞にして知らないが、2人して悠々と興趣の世界に遊ぶかに見える▼そのころ、子規は東京に、漱石は熊本に住まっていた。体ひとつで高温多湿に耐えるしかなかった時代である。夏痩せする人は多く、その言葉は万葉の昔からあった。時は移って、いまは夏場の「冷え」に注意が必要という▼室内も車内も冷房は備わり、多種多様な氷菓も手招きをする。体の外からも内からも冷やされて、疲れやだるさを呼び込みがちだ。〈一匙(ひとさじ)のアイスクリムや蘇(よみがえ)る〉子規。これぐらいなら、体に障ることはなかったろうが▼高校野球は幕を閉じて、あすは暑さが収まる候とされる二十四節気の処暑。なるほど、朝夕は秋の走りの空気を感じる。といっても残暑は油断ならないし、少しゆるんだ暑さのなかで、ひと夏の疲れが出るころでもある▼「秋バテ」という言葉を、昨今ときどき耳にする。夏場に体を冷やして自律神経の働きが乱れ、それが秋への変わり目に現れてくるという。文明病であろう。夏痩せより手強(てごわ)いかもしれない。
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