天声人語 20151201 水木しげるさん冥界へ

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ネコのように生きるのが理想だったという。自由に寝て、起きて、あくびをする。少年のころから「なまけ者としてしか生きていけない」と思い込んでいた。それが、戦争に駆り出される。ひどいボロ船で南方へ送られ、米軍の爆撃で左腕を失った▼死線をさまよったが生き延びた。自生するパパイアの実を両足ではさみ、右手のさログイン前の続きじでほじくりだして食べて、命をつないだという。運命の歯車がわずかでも違えば、後年の漫画家「水木しげる」は存在せず、「ゲゲゲの鬼太郎」もこの世に現れることはなかった▼その体験もあってだろう、亡くなった水木さんの画風はむろん、語り口も、どこかこの世とあの世を越境していた。飄々(ひょうひょう)とした味わいの中には、戦争で散った仲間を悼む涙があふれていたように思う▼復員後は、傷痍(しょうい)軍人として街頭に立ったこともあった。水木漫画で妖怪ものと並び称される戦記ものに、英雄は出てこない。兵隊たちのやるせない姿だけがある。不条理への憤りが、ひしひしと伝わる▼質屋の預かり証が3センチにもなり、ろうそくの灯で絵を描いた貧乏時代は、朝のNHKドラマ「ゲゲゲの女房」などでよく知られる。売れ出したのは40代半ば、遅咲きの大輪だった▼「かみさんはうまくやってくれるし、好きなことしてメシが食えて、巨万の富も築いたわけですから」。6年前の朝日賞の授賞式で茶目(ちゃめ)っ気たっぷりに語り、会場を笑わせた。享年93。砂かけ婆(ばばあ)に手を引かれて、戦友のもとへ向かっているか。
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