天声人語 20160316 上田正昭さん逝く

来源:互联网 发布:手机上能设计淘宝店吗 编辑:程序博客网 时间:2024/06/06 23:57
既成のものの見方を疑った。山陰地方を文化先進地と見ないことが「いかに史実ばなれの偏見であるか」と書いたのは9年前だ。古代史学者の上田正昭さんが、島根県立古代出雲歴史博物館の開館を前に本紙に寄稿した。驚異的な青銅器遺跡に代表される「出雲文化の輝き」を見よ、と▼以前は普通に使われた「帰化人」という言葉ログイン前の続きにも疑義を呈した。中国や朝鮮半島の人々が日本に定着することを日本書紀は帰化と書いているが、古事記は単に「渡来」と記していると指摘。より客観的な渡来人という呼称を広げた▼日本の歴史と文化が、「渡来の人々と渡来の文化」の受容の上に育まれてきたことを説き続けた上田さんが亡くなった。享年88▼若き日の高校教員時代の体験から、民族差別や部落差別の研究も深めた。古くは「日本のなかの朝鮮文化」という季刊誌に関わり、京都にある世界人権問題研究センターの理事長も務めた▼〈山川も草木も人も共生のいのち輝け新しき世に〉。2001年の歌会始の召人としての作品だ。戦争の世紀から、共生の世紀へ。共に生きるだけでなく、新しい文化を共に生み出していこうという思いを込めた▼「大和魂(だましい)」の語を源氏物語の中で使った紫式部を、「和魂漢才」の人と評した。晩年、軍国主義的な日本精神とは異なる「大和魂(ごころ)」の再発見の必要性を説いていた。古来、日本独自の伝統を築いてきたのは、「はるかに外に向かって開かれた島国根性」だったのだという視点が痛快だった。
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