天声人語 20160125 琴奨菊遅咲きの賜杯

来源:互联网 发布:le48r31数据 编辑:程序博客网 时间:2024/05/16 19:52
寒いときには火が恋しい。北原白秋の「ペチカ」などは、口ずさむだけでも暖まる心地がする。♪雪のふる夜はたのしいペチカ。ペチカ燃えろよ。おもては寒い……。白秋の故郷、福岡県柳川市の人たちは昨夕、寒波に舞う雪のなかで、ペチカならぬテレビを前に熱くなったことだろう▼大相撲千秋楽の焦点は、10年ぶりの日本出ログイン前の続き身力士の優勝だった。快進撃の琴奨菊は柳川の出身。昔から「江戸の大関より土地の三段目」といわれ、郷土力士の活躍はファンの楽しみだ。地元の大関の大一番に熱のこもらぬはずはない▼この人の立ち合い前の所作は独特で、弓張り月のように巨体を反らせ、大量の塩を豪快に投げ上げる。火の出るような当たりで一気に寄るか、転がされるか。竹を割ったように勝ち、あるいは負ける印象がある▼初の賜杯(しはい)をかけた一番も、当たって押し込み、豪栄道を突き落としで土俵に転がした。角界最強といわれる立ち合い。持ち味を生かした見事な勝ちっぷりだった▼大関昇進後はけがに泣き、横綱勢の引き立て役の観もあった。去年の初場所はカド番で迎えて9勝6敗。1年後の快挙を想像した相撲好きはどれほどいただろう。だが相撲の神様は、黙々と稽古を積んできた31歳に大きな花を用意していた▼〈やはらかに人分(わ)けゆくや勝角力(かちずもう)〉高井几董(きとう)。鬼の形相の土俵から一歩出れば、春風駘蕩(しゅんぷうたいとう)の空気を身にまとわせる。初めての優勝インタビューの笑顔がよかった。ペチカの代わりに、暖まらせてもらった。
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