天声人語 20160207 シャープの躓きの石

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白黒テレビが家庭にやってきたときの感慨を記した文章は少なくない。作家の林望(はやしのぞむ)氏が隣家に「貰(もら)いテレビ」に行かなくてよくなったのは、昭和30年代前半の小学生の頃。工事に来た電気屋さんも一緒に祝杯をあげ、ご馳走(ちそう)を食べた▼初期は米国の番組が多く、小さな画面が異文化を伝えたログイン前の続き。「テレビを床の間に置く家が珍しくなかった……それまで見たこともなかった世界がのぞけるというそれだけで、もう神様だった」と書いたのは作家の故永倉万治(ながくらまんじ)氏だ▼テレビが真ん中にあったのは、作る側の家電業界も同じだった。かつてのブラウン管テレビは、米国向け輸出の主力商品だった。薄型テレビの時代になると、商機とばかりメーカーが競い合って製品を送り出した▼今思えばテレビにこだわりすぎたのかもしれない。シャープはその最たるもので、国産の高品質モデルで勝負をかけ一世を風靡(ふうび)した。しかし、それが躓(つまず)きの石になる。デジタル技術の進歩でテレビは、部品を集めれば簡単に作れる存在に変わってしまった▼世界の市場で日本の家電は中韓勢に押され、シャープは台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入る案が有力になった。「海外に技術が流出する」と心配する声もあると聞く。そんなにすごい物があるなら、なぜここまで傾いたのだろう▼多くの家でテレビは今も大きな顔で座っているが、さていつまで続くか。スマホだって将来は分からない。技術の進歩も人々の好みも立ち止まってはくれない。経営の厳しさである。
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