日经社説 20150113 認知症研究の正常化を急げ

来源:互联网 发布:单片机控制语音芯片 编辑:程序博客网 时间:2024/05/21 06:30

アルツハイマー病の大規模な臨床研究で不適切なデータ管理があったと指摘されていた問題で、東京大学の第三者委員会が昨年末に「改ざんや恣意的な修正はなかった」とする調査結果を公表した。

 東大などの関係者は約23億円もの国費をつぎ込んだ研究が混乱し1年近くも停滞する事態を招いた点を反省し、再発防止策をしっかり講じてもらいたい。

 これまでの研究体制を刷新し、多くの患者や医師らの協力で得た貴重な医学データが無駄にならないよう、研究計画を早期に正常に戻す必要がある。

 認知症の患者は国内だけでも約460万人にのぼり、3分の2はアルツハイマー病とされる。

 だが有効な治療薬がいまだなく、世界の製薬会社が開発を急いでいる。薬の効果を客観的に測る診断基準の確立が大きな課題となっている。

 このため日米欧の大学などが協力して、脳の画像から病気の進み方を判断できる国際基準をつくろうと研究を進めている。問題の臨床研究はその一環をなす。

 国内の38医療機関が参加し、約550人を対象に、アルツハイマー病が発症する前の段階から脳に起きる変化を画像診断装置などで調べてきた。

 しかし管理体制の不備から検査データの修正をめぐる混乱や内部のあつれきを生んだ。一部の研究対象者を同意書を得ずに検査する研究倫理規定に反する事例もあった。「世界の動きに乗り遅れまいと準備不足で始めたのが原因」と第三者委員会はみる。

 高血圧治療薬の効果をめぐる不正行為など、このところ臨床研究に絡む不祥事が続く。今回の事例では不正は認められず同列には扱えないが、日本の臨床研究の未熟さを示す点では同根ともいえる。

 臨床研究は新しい診断技術や医薬品の開発にもつながり、医療の進歩のため大事だ。政府や大学、産業界は必要な人材の育成や制度づくりに向け協力して取り組んでいく責任がある。

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