社説 20150123 温暖化被害予測 先を見据えた対応が必要だ

来源:互联网 发布:ubuntu服务器重装系统 编辑:程序博客网 时间:2024/05/02 01:55

国内で温暖化がこのまま進めば、災害の多発にとどまらず、生活全般に大きな影響が及ぶ。被害を最小限に抑える対策が急務である。

 環境省が今世紀末までの温暖化の影響予測に関する報告書案を公表した。政府は今夏、これを基に被害軽減に向けた「適応計画」を初めて策定する。

 世界の温暖化対策は、温室効果ガスの排出削減に重点が置かれてきた。無論、排出抑制は重要だが、削減が進んでも、ある程度の気温上昇は避けられない見通しだ。国際交渉では、適応策の充実が重要視されるようになった。

 政府が独自に適応計画を作るのは、時宜にかなっている。

 報告書案は、専門家が500本以上の論文などを精査し、影響の重大性、対策の緊急性、予測の確実性の観点から、被害のレベルを評価したものだ。自然災害や農業、健康などの分野で、早急な対策を求めている。

 心配されるのは、豪雨の頻発や強力な台風による洪水や高潮だ。昨夏に広島で起きたような土石流災害も増える可能性がある。

 全国的な防潮堤整備など、ハード面での対策には限界がある。危険地域の居住を制限する。局地的豪雨や台風の進路の予測精度を向上させ、早めの避難を呼びかける。人命を守るため、ソフト面での対処がより重要になるだろう。

 高齢者を中心に、熱中症が増加することも懸念される。ヒートアイランド対策として、都市部の緑化などを進めたい。

 農業分野では、特にコメ作りへの影響が大きい。高品質の1等米の比率が、全国的に下がると予測される。温室効果ガスの排出削減が十分でなく、国内の平均気温が3度以上高くなれば、北日本以外の地域では収穫量が減少する。

 害虫や外来種の雑草の防除も、今以上に必要になる。降雪量の減少とともに、雪解けの水の量も減るため、田植え期などに農業用水が不足する恐れがある。主食の生産基盤が脅かされかねない。

 ミカンやリンゴについては、2060年代に現在の産地の多くが栽培に適さなくなるという。

 温州ミカンに高温障害が表れるようになった愛媛県の農家では、県の研究所などの支援を受け、イタリア原産のオレンジの栽培にも乗り出している。

 暑さに強い品種の開発や、別の作物への切り替えが重要となる。研究機関と自治体、農家が連携し、地域の実情に合った栽培計画を立てることが求められよう。

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