社説 20150210 農協改革案 全中の受け入れは出発点だ

来源:互联网 发布:营业执照怎么网络年检 编辑:程序博客网 时间:2024/05/24 05:03

改革を着実に実行に移し、日本の農業再生につなげねばならない。

 農協グループの頂点に立つ全国農業協同組合中央会(JA全中)が、政府・自民党のまとめた農協改革案を受け入れると表明した。

 全中の万歳章会長は「農家所得の増大や地方活性化に向け、この改革に臨んでいく」と述べた。

 改革案は、地域農協に対する全中の指導・監査権を廃止し、各農協の経営の自由度を高めることが柱だ。農業の競争力を高める取り組みを促し、「攻めの農業」を目指す狙いは妥当である。

 安倍政権が、監査権の維持に固執してきた全中などを説き伏せ、農協改革案の策定にこぎつけたことを評価したい。

 政府は、今国会に農協法の改正案を提出する方針だ。全中は2019年3月までに、現在の農協法に基づく組織から、一般社団法人に移行する。

 全中が監査料などの名目で地域農協から集めている年80億円に上る賦課金もなくなり、任意の会費などで運営費を賄う見通しだ。

 改革後、全中の活動は政策提言や広報などに絞られ、農政に対する「圧力団体」としての政治力は低下することになろう。

 気がかりなのは、全中が農協の代表・調整機能を持つことを、農協法改正案の付則に明記する方向となった点だ。これが拡大解釈され、全中の影響力が実質的に保持されないか、注意が要る。

 全中の下部組織である都道府県単位の中央会は、農協法上の連合会と位置付けられる。各中央会が、全中のような画一的な農業指導の拠点となったのでは、改革の実効性は上がるまい。

 環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の妥結をにらみ、日本農業の競争力強化は急務だ。地域農協の意識改革が求められる。

 農協グループは、小規模な兼業農家の利益を優先してきたと指摘されることが多い。各農協は地域の特性を見極め、大規模化による効率化や農産品のブランド化などに努力する農家が報われるような運営に改めるべきだ。

 改革案が、農家以外の「准組合員」による農協サービスの利用制限を見送ったのは問題である。

 多くの地域農協が、准組合員を有力な顧客とする金融事業などの黒字で経営を成り立たせているとはいえ、「農家のための農協」という本分がおろそかになっている現状を放置してはならない。

 准組合員に依存しない農協への改革を急ぐ必要がある。

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