天声人語 20160307 命ひしめく春に

来源:互联网 发布:幼儿学拼音软件 编辑:程序博客网 时间:2024/05/21 10:00
春告鳥(はるつげどり)がウグイスなら、春告虫はさて何だろう。思いめぐらせばモンシロチョウが頭に浮かぶ。菜の花畑をはずむように飛ぶ姿は、旧仮名で表す「てふてふ」の語感がよく似合う▼冬ごもりの虫が這(は)い出す二十四節気の啓蟄(けいちつ)を過ぎて、さらに分けた七十二候では「菜虫化蝶(なむしちょうとけすログイン前の続き)」も近い。すなわち青虫が羽化する頃。手元の本にある「モンシロチョウの出現前線」に照らせば、今頃は九州や四国の南部あたりらしい。春風にのって北上の途についたばかりのようだ▼チョウに限らず、春には様々な小さきものがお出ましになる。それら昆虫などが花粉を運ぶことで市場にもたらす価値は、世界で年間に最大66兆円にのぼると、国連の科学者組織が先ごろ発表した▼媒介するのはハチをはじめチョウ、カブトムシなどの昆虫、それに鳥、コウモリなどという。別の推計では、日本国内でも昆虫が農業にもたらす利益は年間約4700億円になるそうだ。恩恵を知れば虫けらなどとは蔑(さげす)めない▼昨日に続いて生物の話になるが、この星の生きものは確認されているだけで約175万種にのぼっている。知られざる種を含めればはるかに膨大だ。それぞれが人知を超えて結びつき、作用し合って、豊かな生態系を作っている▼生物多様性とは、いわば地球上の「命のにぎわい」のこと。ところが今や、日々100種ほどが消滅しているとも言われる。人類の君臨によるところが大きいらしい。命ひしめく春のありがたさを、春の一日に考えてみたい。
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