日经社説 20150730 最低賃金は影響に目配りを

来源:互联网 发布:apache openoffice 编辑:程序博客网 时间:2024/06/06 01:44

厚生労働省の中央最低賃金審議会は2015年度の都道府県ごとの地域別最低賃金を平均で時間あたり18円引き上げ、798円とする目安を決めた。引き上げ幅は最低賃金が時給で示されるようになった02年度以降で最大となる。

 中小・零細企業では最低賃金やそれに近い水準の賃金で働く人が少なくない。パートなど非正規労働者の待遇改善には最低賃金引き上げの効果が大きい。半面、企業の経営は圧迫される。実際の上げ幅を決める各都道府県の地方審議会は、地域経済への影響などを十分に踏まえて判断すべきだ。

 この数年は最低賃金が生活保護の給付水準を下回って勤労意欲を損ねる「逆転現象」を解消するため、積極的に最低賃金を引き上げる傾向にあった。全国平均で12年度が12円、13年度が15円、14年度は16円上がっている。

 逆転現象は14年度で解消されたが、今年も上げ幅の目安が大幅になったのは、賃金上昇によって消費を刺激し経済の好循環につなげたいとする政府の意向がある。

 気になるのは大幅な最低賃金引き上げに中小・零細企業が対応できるかだ。従業員30人未満の企業についての厚労省の調査では、今年の賃上げ率は0.9%と昨年の1.1%より下がっている。無理な最低賃金引き上げで企業の経営が悪化し、地域の雇用に悪影響が及んでは元も子もないだろう。

 中小・零細企業が低賃金の労働力に頼らず収益力を高めることは欠かせない。ただ流通分野の過当競争や下請け企業に対する値下げ要求など、経営環境は厳しい。都道府県の審議会はそうした点にも目配りしつつ最低賃金を決めてほしい。

 政府の役割は企業が継続的に賃金を上げていける環境づくりだ。企業が利益を生む力を高めなければ賃金の上昇はおぼつかない。

 サービス業の生産性向上の支援など、掲げた政策の実行を政府は急いでもらいたい。企業が成長分野に参入しやすくする規制改革もペースを上げる必要がある。

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